「なごみこ育みの家」ウェブサイトをご覧いただきありがとうございます。
我々は名古屋市昭和区で前身時代を含め24年(2021年4月現在)の歴史を持つ民間学童保育所です。代表土屋がこの施設との関わりを始めてからは16年になります。
この間、私は250名近いお子さん方の成長を見届けさせていただきました。
在籍児童が数十名規模になったのはここ数年のことで、10名以下という時代もかなり長かったので歴史の割にはそれほど多い数ではないかも知れません。
昔も今も、毎日この場が楽しくて仕方がないという子どもたちの姿は大きく変わっていません。
この場には何があるのか、何が子どもたちを惹きつけるのか、お互いの関係も良好なのはなぜなのか、
(もちろん全員なんてことはあり得ませんから合わなかったお子さんもいらっしゃいます)
いつも考えているのですが未だ明確な答えは見つけられないでいます。
近年、人の成長における「愛着」の問題と「安全基地」の重要性が理解されるようになってきました。
まずは生まれてからの数時間、そして子ども時代においてどれほど安心できる環境に身を置かれたかが人の成長にきわめて重要な影響を与える、というものです。
誰の目にも明らかな虐待も無く、貧困とも無関係なごく一般的な家庭でも愛着の問題を抱えることはあります。
うちの子はこのままではダメ、何とかしなければ、といった親の思いは本人に必ず伝わっています。将来的な期待に限らず、我が子の「今」の状態は受け入れ難いと思っていると、その子にとって家庭が安全基地ではなくなってしまいます。
加えて、もし本人が「ひといちばい敏感な気質」(同じく最近注目されています)を持っていたとしたら、大人になっても生きづらさを感じ続け、何をするにも大きなハンディキャップを背負うことになってしまいます。
これらは単純に親の問題もしくは本人の問題ということではなく、周囲のさまざまな人間関係で構成された生育環境にどのような特性の本人が置かれたかによって、プラスにもマイナスにも作用します。
同じ家庭で暮らすきょうだいでももちろん人格は別、気質も違いますから、一人だけが合わなかった、ということも起こり得ます。
あらゆる人にとって最初の、そしてもっとも重要な安全基地は家庭と言えますが、第2の家庭的な役割を担う学童保育もまた子どもたちにとっての安全基地である必要があります。
なごみこ育みの家を気に入って通い続けている子どもたちには、この場がもうひとつの安全基地になっているのではないか、今はそのように考えています。であれば大変ありがたく、またとても重要なことだと思います。
私たちは学童をお稽古教室の延長または発展型とは考えません。子どもたちが新しいことを教わり上達する、何かができるようになるというのは大事なことです。目に見える結果として現れるので保護者も評価しやすいです。しかしとりわけ小学生それも低学年時代の子どもにとっては、自分自身をそのまま受け止めてくれる安全基地で、自由な遊びを通して子ども同士でのさまざまな経験を積むことが何より大切だと思っています。
実際ここの学童ではアカデミー講座として「英語」「書道」といった昔から馴染み深い習い事教室も開講していますが、「わらべうた」「コミュニケーション遊び」という、よそではあまり見かけない講座も行っています。これらが目指しているのは、遊びを通じて子どもたちに揺るぎないセルフイメージを確立してもらうことです。そして講座のない時間の自由遊びからも、子どもたちは他の子たちとの関係を通じてきわめて多くのことを学んでいます。
こうして一定期間、自分の中にしっかりとした「基盤」を築けた子どもは、成長が進んで然るべき時期になれば次のステージとして勉強や芸術スポーツ、それぞれやりたいことに意欲的に挑戦できるようになります。塾や外部習い事への送迎も行っていて、そのためのお手伝いもさせていただいています。
私自身は、自らが困難の多い子ども時代だったこともあり、子どもたちの直接の相手はとても上手とは言えません。そのため経験豊富でコミュニケーション能力に優れたスタッフに現場は任せ、主に後方支援をしています。子どもの自己肯定感はこうして育まれるのか、と私自身が日々驚いていて、自分には到底できないと感じています。
一方どの職場にも適材適所はあり、プロデューサー/ディレクターである裏方がしっかりして働きやすい環境維持に心がければ、前に出る人たちはそれぞれの力量を存分に発揮してもらえると考えます。事務方の対応が万全であれば利用される保護者の方々は安心してお仕事に集中していただくことができます。そのため私は、自分にできることを高いレベルで実現するよう日々努力しています。
過去には一時的にそのバランスが崩れたこともありましたが、現在のなごみこ育みの家になってからは安定した保育サービスを提供できていると思います。
名古屋市ではすべての市立小学校内にトワイライトスクール/ルームがあり、学区には育成会学童(いわゆる地域の認可学童)があるため、完全民営の学童は第3の選択肢となります。
乳幼児保育については小規模保育事業への手厚い助成のためここ数年で保育所数は激増と言えるほどに増えましたが、小学生対象の民間学童は習い事教室と同じ扱いとなり公的な助成制度が存在しません。大手資本によらない小規模な施設ほど経営困難のため数は少なく、我々も常に先行きが見通せない日々の繰り返しです。
加えて現在はコロナ禍という新たな困難にも直面しているのですが、一方で学童保育に対する世の中の認識も変化し、重要な社会インフラのひとつとして理解されるようにもなってきました。
このウェブサイトでは、現在の出席児童数や来年度の申込状況、細かな料金体系、料金シミュレーションに至るまで、他施設ではあまり公開していない内容でも誰もがご覧いただけるようにしてあります。入所をご検討される方にとって知りたいことは何かを考えれば自明だからです。同業の方が参考にされたとしても差し支えないと思っています。どなたでもじっくりご覧になっていただきたく思います。
さまざまなことがありましたが必死の思いで長く続けてまいりました。この実績を途絶えさせずこれからも施設の維持に努めていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
なごみこ育みの家代表 土屋 諒晟