ネット世論

昨日行われた兵庫県知事選挙の結果、既存のオールドメディアにSNSが勝利したと大きな話題になっています。

私はSNS一切やっていないのですがネットの世論については1990年代終わりの黎明期からずっとウォッチしてきました。某匿名掲示板もその成り立ち含めてリアルタイムで見ていたのですが書き込むことはしていません。このコラムもそうですが自分が何者かが相手にわかる場でしか発言しないようにしています。いわゆる「ROM専」、こんな用語ももはや通じなくなりました。

今回の兵庫県知事選で前職の方が再選されたのはかなりインパクトのある出来事でした。TV新聞雑誌など大手メディアが予想を外すことはこれまでもしばしばありましたが、今回は辞職に至るまでの経緯と見事に真逆の展開になったのでしばらくは話題が続きそうです。

20年前、ネット世論は一部の尖った人たちの前衛的な意見で、世の中の大多数の人たちとは違うとマスコミでは言われていました。私は当時、10年20年経てばネットに接していない主に高齢の人は減り、ネット世論がマジョリティになっていくはず、と思っていたので今回のことは何も不思議に感じません。

ネット世論の中身は多彩でひと括りにできるものではなく、今回の件で言えば前知事を支持する・支持しないどちらの意見も含まれます。なのでそれぞれの視点や立場からの意見を取り入れた上で、自分の頭で考えて判断する必要があります。それができる人は20年前より確実に増えています。
SNSの拡散力のおかげと言う人もいますが私のようにやらない人も一定数いるので、SNSの力というよりは人の意見に流されず自分で主体的に選択する力を身につけた人が増えているということでしょう。
高度情報化社会ではこうした能力が重要で、教育にも取り入れていかなければならないと言われ続けていて、若い世代に限らず多くの人が大事なことだと思っているのですから当然のことなのです。

高齢者は機械音痴なのでネットは苦手、情報の取捨選択も苦手でテレビばかり見ていて自分では何も考えない、というイメージを20年変えなかった人たちが先日のアメリカ大統領選や今回の知事選の結果に驚いています。

その中には、いわゆる既得権益を享受し続けたい人も少なくないのかも知れません。ですが世の中の目は不当な利益を得る者に対して厳しくなっていますからそれらを手放そうとしない人は悪者にされていきます。
政治に関わる人たち、省庁で働く官僚たちはネット世論で叩かれることが多いですが、不景気な時代に生まれた若い人は公僕の精神で誠意を持って仕事をしていますから、世代交代していくことでこうした組織も変わっていくのだろうと思います。